外来医長 大庭由宇吾
これまでの経歴を教えてください。
平成11年九州大学医学部を卒業し、同大学麻酔科に入局しました。
最初は手術室で麻酔をするのが主な仕事でした。手術は体への大きな影響を与えるものですが、それを最小限に抑えるのが麻酔の目的です。痛みを取ること、眠らせること、手術中の呼吸・循環・体液管理が仕事でした。
しばらくして麻酔科から救急部へ出向になりました。手術室以外で患者さんを診るようになりました。主に眠った患者さんの治療をする麻酔科だけで働いてきた私にとって、患者さんの声を聴くのは新鮮でした。患者さんに困っていることを聴くと、ほとんどの人が痛みを訴えておられました。原因の特定と症状の変化を見るために、痛みを和らげない方がいいことも時にはあります。しかし、長く続く慢性痛の場合、原因がどのようなものであっても、まずは痛みを和らげるという方法が良いことも多いのです。麻酔科は痛みを取り除く薬を使ったり、注射をしたりするのが得意です。手術室の外でも麻酔科医として患者さんを助けることができるのではないかと考え、約7年前ペインクリニックの仕事を始めました。
ペインクリニックは痛みの治療をする医療です。慢性痛には麻酔科医の得意分野であるブロック治療(注射により、痛みが脳に伝わるのを途中でブロックして鎮痛する治療)や薬物治療が有効なことがあります。主に外来で、痛みの治療を専門的に行いました。
以上のような仕事を、福岡市やその近郊のいくつかの病院、別府市にある九州大学病院の分院で続けた後、今年4月から秋本病院に入職しました。
秋本病院に入職されたきっかけ(理由)は何でしょうか?
救急部に出向になったくらいの時期から、秋本病院の当直をしています。そのご縁で院長先生から誘っていただきました。手術麻酔、ペインクリニックの他、総合診療科として外来診療、緩和ケアも行っています。私の得意分野は、痛みを取り除くあるいは和らげるということです。それを求められて入職になったのだと考えています。
秋本病院で今後実現してみたいことを、これからの抱負と交えて教えてください。
これまで同様、手術麻酔と外来での痛み治療は続けていきます。また、入院中のがんの患者さんを担当し、痛みなどのつらい症状が和らぐよう治療を行っています。この緩和ケアという分野は、今とても求められていて、たくさんの研究、経験を通して日々進歩しています。とてもやりがいのある仕事です。
すべての仕事を通して、痛みを和らげ、不安を和らげることを目標に診療を続けていきます。どうぞよろしくお願いいたします。