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千一夜医話
振れ太鼓
2011年11月
今年も大相撲が博多の街へやってきました。私の大相撲の一番の思い出は、大名小学校に通っている頃です。晩秋の朝の街に、福岡スポーツセンターで打ち鳴らされる振れ太鼓の音を聞きながら登校していました。街には鬢付け油の香りが漂っていました。
そのころは、栃若時代から柏鵬時代でテレビは白黒、男の子の遊びは砂場に円を描いての相撲でした。私は強くはありませんでしたが、得意技は上手投げでした。学校から、スポーツセンターの天井に近い立見席に連れて行ってもらい、友達と大声で応援した思い出もあります。
父の関係で大相撲と近いところにいたため、子供のころに初代若乃花に抱いてもらったことや、横綱大鵬が怪我をした後に黙々と復帰のトレーニングをしている姿を目の当たりにしたことを、今でも鮮明に思い出します。
医師になってからは、東京の順天堂医院で春日野親方(当時は相撲協会理事長)の御家族の受け持ち医となり、親方の温かいお人柄に直接触れました。5月場所の頃に、お相撲さんが着物の裾を風になびかせて国技館脇の隅田川の岸を歩く姿は、何ともカッコ良いものです。
今は、九州場所の新弟子検査を行ったり、場所中に福岡国際センターの診療所を運営したりするのが、大相撲との関わりです。力士の怪我の診察もします。年に1度、両国国技館で大相撲に関わっている医者が全国から集まって「相撲医学協議会」なるものが開催されます。持ち寄った力士の怪我のカルテを開き、取り組みのビデオを見ながら討議して、力士の怪我からの復帰と怪我の予防を考えています。力士たちの健康状態も議論しています。
九州場所が始まると自宅にストーブが入りました。九州場所が終わって朝日マラソン(現、福岡国際マラソン)が終わると、博多の街は年末です。
私にとって、大相撲には季節感があります。
琴奨菊ガンバレ!
ブリーフレター 49号より転載

